【泉人修行の旅】藻さえも湯の個性。鹿児島・鶴丸温泉で味わうリアルなモール泉。

九州八十八湯めぐり

タケルです。

人吉を後にし、ひたすら南へ車を走らせ、

気づけば鹿児島にいた。地図を見ずに流れ着く、そんな日がある。

「鶴丸温泉」と書かれた古びた看板が目に入った瞬間、身体が勝手に動いた。

湯気の向こうに見えたのは、観光地の華やかさとは無縁の“地元の時間”。

ここでは湯が、ゆっくりと語りかけてくる。モール泉の深みを全身で受け止めた。

データ

名称鶴丸温泉
所在地鹿児島県姶良郡湧水町鶴丸622-5
泉質炭酸水素塩泉(モール泉)
泉温約42℃(体感)
営業時間・料金6:00〜20:30 / 大人300円
設備内湯・露天・水風呂あり
特徴モール臭漂うコーヒー色の湯。地元密着のレトロ公衆浴場。

温泉

浴場に入った瞬間、鼻をくすぐるあのモール臭。

どこか甘く、焦がした木のような香り。

湯面は深いコーヒー色で、光の角度によって黄金にも見える。

湯に身体を沈めると、肌にまとわりつくようなぬめり感。

数分もすれば、皮膚がしっとりと変化していく。

まるで湯がこちらの体温に合わせて呼吸しているようだった。

露天水風呂には藻が浮かび、湯の「生きている」気配を感じる。

綺麗すぎる湯より、こういう野性味のある湯が好きな人にはたまらない。

地元の人たちは皆、無言で湯を味わい、静かな時間が流れていた。

受付の壁には「鶴瓶の家族に乾杯」のポスター。それもまた、この湯の歴史を語る証。

まとめ

観光ではなく、体感。

この湯は“体で聴く”ものだった。

モール泉の香り、湯の柔らかさ、そしてわずかな不完全さ。

そのすべてが、鶴丸温泉の魅力を作っている。

鹿児島の地に息づく、玄人好みの一湯。

また、あのモールの香りを嗅ぎたくなった。

次は、夜の静けさの中で浸かりたい。

では、また次回。

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