タケルです。
人吉を後にし、ひたすら南へ車を走らせ、
気づけば鹿児島にいた。地図を見ずに流れ着く、そんな日がある。
「鶴丸温泉」と書かれた古びた看板が目に入った瞬間、身体が勝手に動いた。
湯気の向こうに見えたのは、観光地の華やかさとは無縁の“地元の時間”。
ここでは湯が、ゆっくりと語りかけてくる。モール泉の深みを全身で受け止めた。

データ
| 名称 | 鶴丸温泉 |
| 所在地 | 鹿児島県姶良郡湧水町鶴丸622-5 |
| 泉質 | 炭酸水素塩泉(モール泉) |
| 泉温 | 約42℃(体感) |
| 営業時間・料金 | 6:00〜20:30 / 大人300円 |
| 設備 | 内湯・露天・水風呂あり |
| 特徴 | モール臭漂うコーヒー色の湯。地元密着のレトロ公衆浴場。 |
温泉
浴場に入った瞬間、鼻をくすぐるあのモール臭。
どこか甘く、焦がした木のような香り。
湯面は深いコーヒー色で、光の角度によって黄金にも見える。
湯に身体を沈めると、肌にまとわりつくようなぬめり感。
数分もすれば、皮膚がしっとりと変化していく。
まるで湯がこちらの体温に合わせて呼吸しているようだった。
露天水風呂には藻が浮かび、湯の「生きている」気配を感じる。
綺麗すぎる湯より、こういう野性味のある湯が好きな人にはたまらない。
地元の人たちは皆、無言で湯を味わい、静かな時間が流れていた。
受付の壁には「鶴瓶の家族に乾杯」のポスター。それもまた、この湯の歴史を語る証。
まとめ
観光ではなく、体感。
この湯は“体で聴く”ものだった。
モール泉の香り、湯の柔らかさ、そしてわずかな不完全さ。
そのすべてが、鶴丸温泉の魅力を作っている。
鹿児島の地に息づく、玄人好みの一湯。
また、あのモールの香りを嗅ぎたくなった。
次は、夜の静けさの中で浸かりたい。
では、また次回。



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